ライムリーフ

ライムリーフ(カフィルライム)は熱帯アジアを原産とするミカン科のスパイスです。タイ語ではバイマックルーといいます。葉は2枚ずつ隣り合わせにつながったようなユニークな形をしているのが特徴。果実はでこぼこした凹凸のある表面をしているため、日本では「コブミカン」の名称で呼ばれています。

料理に利用するのは皮や葉の部分で、葉からは柑橘系特有のレモンにも似たさわやかな香りがします。一方果実の皮はもっと強い芳香と苦味があり、すりおろして料理に添えると風味アップに役立つので試してみてくださいね。
エスニック料理、特にタイ料理で使用されることが多く、鶏肉や魚の料理、カレーのスパイスに用いられます。タイで代表的なトムヤムクンには、レモングラス・パクチーなどと一緒に煮出してスープに辛さと酸味をプラスします。
またタイ料理に限らず、ベトナムやインドネシアなどの東南アジアでもスパイスとして料理に用いられているそうです。

チリパウダー

チリパウダーはアメリカ発祥のミックススパイス。チリペッパーというスパイスがありますが、このスパイスを単純にパウダーにしたものではありません。「チリ」はメキシコで「辛い」という意味で、チリペッパーを含む複数の辛みの強い香辛料を混合してあることからこのように呼ばれているのだそうです。

チリパウダーはチリペッパー(唐辛子)の粉末とオレガノを基本に、クミン、ディル、クローブなどを混合して作られます。名前や赤い見た目の通り、ピリッとした辛さが特徴的です。

主にメキシコ料理で人々に親しまれており、タコスやチリコンカーンには欠かせません。
またピラフやパスタ、チキンの味付けにもピッタリ。

作り方は材料をフライパン等で煎り、粉末にしてからそれぞれのスパイスを調合します。また市販で売られているものにはアメリカタイプと、これより辛味の強いメキシコタイプがあり、自宅でチリパウダーを使って料理する場合はブレンドや種類を工夫し、自分なりの味付けを楽しんでみてください。

サフラン

サフランは地中海沿岸や西アジアを原産とするアヤメ科の多年草です。
現在は主にスペインやトルコ、インドで栽培されており、スパイスの中でも最も高価なことで知られています。日本ではなんと宮城県の塩釜市が有名な生産地なのです!ご存知でしたか?

色付けを目的とするスパイスで、使われる部位は花のめしべ。サフランの色素であるクロシンは水溶性ですから、水に溶かすことで鮮やかな黄色を抽出することが出来るのです。
ほろ苦い独特の香りがするため、旧約聖書では「芳香を放つ香辛料」として紹介されています。長時間陽に当てたり空気に触れたままだとすぐ香りが飛んでしまうため、密閉した容器に入れて冷暗所で保存しましょう。

カレーに関するものではご飯をサフランで着色したサフランライスがポピュラーですね。またヨーロッパではブイヤベースやパエリアの色づけになくてはならない存在です。相性のいい食材は米や魚介類のほかにアーモンド、トマト、柑橘類、スパイスではバジル、コリアンダー、シナモン、ローズマリーなどが挙げられます。

サフランの効能は鎮痛、鎮咳、利尿作用など。日本では整理痛や生理不順など、更年期障害など婦人病の特効薬としても処方されています。

カレーのルーとカレーのライス、両方にスパイスを取り入れて、彩どりと健康効果をアップさせましょう。

マスタード

マスタードは別名セイヨウカラシという、黄色く小さい花をつけるアブラナ科の一年草です。日本ではカラシと呼んでいます。ホワイト、ブラック、ブラウンの3つの種類があり、それぞれヨーロッパや北アメリカ/インド/南ヨーロッパを原産とします。

ホワイトマスタードはあまり辛みがなく、穏やか旨みがするのが特徴です。ピクルスを作るのにスパイスとして使います。
反対にブラックマスタードは刺激が強く、ツンと鼻につくような辛さがあります。一度に口に入れると辛くて涙が流れるほどの威力があり、TVでは罰ゲームで大量のマスタードを入れた食べ物を食べる・・なんて光景が見られることも。
ブラウンマスタードは日本では和がらしとして親しまれており、おでんなどの薬味やからし漬けとして日常よく使われていますね。また南インドでは香り付けとして民族料理に欠かせない存在で、油で炒めてから香ばしさを演出します。

スパイスに利用するのは種子の部分です。ホールのまま使ってもいいですし、さやが熟したら乾燥させ、種を取り出して粉末にしたもの、さらに粉末に水を加えて練り、ペースト状にしたものがチューブに入って店頭で売られています。和風・洋風を選ばず身近に使える所が魅力のスパイスです。

キャラウェー

セリ科の二年草で、原産地は西アジアや北・中央ヨーロッパです。現在の主な産地はオランダ、ドイツ、イギリス、イランやインドなどとなっていますが、そのほとんどは特にオランダで生産されているようです。

別名ヒメウイキョウと呼ばれ、見た目がクミンに似ているのでフランスでは牧場のクミンと呼ばれているそうです。歴史の古いスパイスは色々ありますが、キャラウェーにも様々なエピソードが残されています。紀元前1世紀のローマではアピシウスという美食家として有名な人物が著書の中でキャラウェーを使った調理方法を紹介していたり、エジプトの医学書「エーベルスパピウス」では薬効としての記録が書かれていました。

調理に利用するのは種子の部分。やわらかな甘みとほのかな酸味、そして苦味がキャラウェーの特徴です。

パンやケーキ、クッキーなどの甘い食べ物のほか、ソーセージやキャベツ料理、りんごと相性がいいためアップルパイや焼きりんごによく使われます。またキャラウェイといえばキャラウェイチーズが有名で、ハーブならではの風味の豊かさが人気の秘訣のようです。

薬用としては消化の促進や不良予防を助ける効果があり、かぜ薬や胃腸薬にも原料として
使われます。抗菌作用も期待できるため、油っこい料理の後などに摂取すると効果的です。