リカリス

リカリスは日本では甘草と呼ばれています。砂糖の100倍以上の甘みのあるグリチルリチンという成分を含んでおり、その名の通り醤油の味付けや佃煮・漬物を作る際に甘味料として使用されてきました。

マメ科の多年草で種類がたくさんあります。アジアをはじめヨーロッパにも広く分布しており、歴史も古くエジプトやギリシャでは古代から薬用として親しまれていたそう。他の植物との調和に優れ、解毒作用もあるということで、漢方薬の中でももっともよく処方に試用される材料のひとつなのです。なんと中国最古の医薬書にはあらゆる薬の中心である「国老」として記されています。すごいですね!
日本へ伝わったのは奈良時代、かの有名な正倉院にも保存されていたようです。

カレーに使用する時はその独特の甘みとわずかな香りを活かし、香りづけのスパイスとして使用されます。またしょう油の味付けや佃煮、漬物や塩辛を作る際も重宝される存在となっています。

ガラムマサラ

ガラムマサラという名を皆さんよく耳にするのではないでしょうか?クローブやシナモンのようにスパイスの一種だと思われがちですが、実は複数のスパイスを組み合わせて作られるインドの代表的なミックススパイスなのです。

一口にガラムマサラといっても様々で、2~3種類のスパイスを混ぜ合わせて簡単に作れるものから、十数種ものスパイスを配合したものまでその種類や数は無限大。

語源はヒンズー語で「ガラム=辛い・熱い、マサラ=混合スパイス」から来ています。
「辛い」は理解できますが、「熱い」という意味が含まれるのは熱を加えて作られるためです。またインドの家庭ではおふくろの味として料理に使われるので、あたたかいという意味合いが生じたのだろうという説もあります。マサラにはグリーンマサラやチャットマサラなど、ガラムマサラ以外のスパイスも存在します。

ガラムマサラは辛味を味付けるというよりも香りづけがメインです。
主にクローブ・シナモン・ナツメグの3種類がベースとなることが多いようですが、シナモンにカルダモンやメースをブレンドした香りのいいもの、ペッパーとクローブを基本とする辛みの強いものなど料理や好みに合わせて自由にブレンドすることができます。

作り方は、まずスパイスをホールや粒のまま、火の通りにくい順に煎ります。これをすりこぎやミルなどを使って砕いて粉にすれば完成です。
料理に使用する際、香り付けをメインとするなら煮込み料理などで火を止める直前に加えるといいでしょう。また下味や調理中に使うこともあるので、使用する目的や料理に合わせてうまく取り入れるとぐっと風味がアップします。いずれにしろ多すぎず少なすぎず、適量を加えるのがそのスパイスの良さと料理の美味しさを引き立てるコツです。カレー好きの方はぜひ探究してみてくださいね。

ガジュツ

ガジュツはショウガ科ウコン属の多年草で、英語ではゼドアリーと呼ばれています。また和名では、根や茎、包葉が紫色であるため紫ウコン、初夏に花をつけることから夏ウコンとも呼ばれています。

原産地はインドを中心とする熱帯アジア。東アジアや中国、インドネシアやバングラディシュなどにも広く分布しています。日本では屋久島や種子島、沖縄などが良質のガジュツの生産地として有名です。

シネオールやカンファー、セスキテルペン、クルクメノシンなど、あまり耳にしたことのないような成分を100種類以上含んでおり、日本薬局方に生薬として収録され用いられています。しょうがとよく似た用途として使用されるのが一般的で、風邪や鎮痛、消化不良や吐き気などの症状にあてがわれることが多いです。また、シネオールやアズレンなどガジュツに含まれる成分が脂肪やコレステロールを分解・排泄してくれ、ダイエットにも効果的です。

スパイスの保存方法

スパイスはなんといっても香りと色が命。料理に微妙な色あいや風味をプラスしてくれる頼れる存在です。しかし本来は光・熱・湿気に弱くデリケートですので、保存方法を工夫してスパイスをこれらから守らなければなりません。

生のもの、乾燥させてあるものそれぞれに適した保存方法を知っておくと、スパイスを長持ちさせることができます。

生のもの(フレッシュスパイス)は野菜や果物と同じようにあまり保存がきかないため、使う量だけ購入するようにします。使いきれなかった場合はできるだけその日のうちに冷凍してしまいましょう。細かく刻んで水気を切り、冷凍用パックなどに密閉して冷凍庫へ入れておくと、次に調理する時大変便利です。

またオイルやビネガーに漬けるのもお勧めです。ビンや密閉容器によく水気を切った材料をいれ、オイルやビネガーを足し、2週間ほどおいて使う前にこしましょう。香りが液体に移るまで多少時間がかかるため、芳香の強いスパイスを使用するとうまくいきます。マリネやドレッシングに使うと風味がアップしてとても美味しいので試してみてください。

乾燥したスパイスの保存方法で注意したいことは、まずビンに入っている場合は蓋をしっかり閉めること。スパイスの香り成分は揮発性のものがほとんどのため、湿気が入らないよう密閉した場所に保つことが大切なのです。そして戸棚の中や日の当たらない冷暗所に保管し、高温を避けるようにしましょう。

またいつも料理の際に、ビンや容器のスパイスを使う場合は直接振り出し口から振りかけずスプーンですくう、ビンを火のそばに置きっぱなしにしないようにするなど、スパイスの風味を新鮮に保てるようちょっとした心がけをしておくといいですね。

チャービル

チャービルはヨーロッパ東部を原産とするセリ科の一年草。現在は主にフランスやアメリカで栽培されています。水栽培で簡単に育てることが出来るので、家庭で栽培している人も多くいるようです。

フランスではセルフィーユという別名を持ち、美食家のパセリと呼ばれています。
誠実・正直という花言葉の通り、上品な香りが特徴で苦味や辛みはありません。
ヨーロッパ地方やアメリカではキリストの復活を記念する日にチャービルを食べる習慣があるそうで、希望のハーブとも呼ばれています。

チャービルの効用は発汗作用を高めること。ビタミンC,カロチンなども多く含み、高血圧、風邪を引いてしまった時など料理に使うと効果的です。

サラダの飾りに利用したり、肉や魚のソテーにはみじん切りにして加えたりします。
乾燥させて使うこともフレッシュな状態のまま使うこともできますが、生のものは加熱すると香りが飛んでしまうデリケートな一面を持っています。火を通す場合は仕上がりの直前に加えるなど、特性を上手に利用して料理できるといいですね。ドレッシングや冷たいパスタなどもおススメです。
またフランス料理の調味料として頻繁に使用されるミックスハーブ・フィーヌゼルブには欠かせない定番のハーブとなっています。