ターメリック(ウコン)
カレーと沢庵の黄色は同じものから出来ている。
というと少し意外な感じがします。言われて見ると同じ系統の黄色ですが、味のイメージがあまりに開いているのであまりピンと来ないというのが正直なところではないでしょうか。
その鮮やかな黄金色はターメリックというスパイスで作られます。ターメリックは日本ではウコンという言い方の方がポピュラーかもしれません。このターメリックの活躍でカレーの色はあの輝く黄金色になり、沢庵は鮮やかな黄色になるのです。白いカレーや緑のカレーもありますが、やはりカレーはあの色でないと何だか違う料理を食べている感覚がします。目でも料理を楽しんでいるとはよく言いますが、あの色の汁物をみると自動的にカレー味を連想してしまうほど頭の中に色と味の結びつきが先入観として植えつけられているのではないでしょうか。
そして、それだけではありません。この黄色にはもう1つ重要な効果があります。ウコンの中の更に黄色の成分をクルクミンと言うのですが、このクルクミンが二日酔い防止やがん抑制、美肌効果などに働くのです。二日酔いにウコンが効くというのは、つまりこのクルクミンが作用して肝臓の働きを助けているわけです。
カレーの黄色は体にも美味しい色だということなのですね。
ナンプラー
タイや東南アジアの料理に欠かせないのがナンプラーです。これは塩気を加えた魚類を発酵・熟成させて作る魚醤と呼ばれる調味料のひとつ。魚醤にはほかにもベトナムのニョクマム、インドネシアではトラシ、日本では秋田のしょっつるなどが有名です。
ナンプラーは独特の強い臭気がありますが、魚から抽出された濃厚な旨みが料理に塩気を与え、ぐっと美味しさをアップさせてくれます。この旨み成分の元はタンパク質が分解されてできたアミノ酸と魚肉に含まれている核酸。ほかにもミネラルやビタミンも豊富に含まれているのです。
東南アジアではほとんどの料理のベースにナンプラーが使われ、食堂や屋台には常備されているほど。トムヤムクン、野菜や肉の炒め物に加えて味付けに使用されるほか、タイ風カレーにも隠し味として愛用されています。
ガジュツ
ガジュツはショウガ科ウコン属の多年草で、英語ではゼドアリーと呼ばれています。また和名では、根や茎、包葉が紫色であるため紫ウコン、初夏に花をつけることから夏ウコンとも呼ばれています。
原産地はインドを中心とする熱帯アジア。東アジアや中国、インドネシアやバングラディシュなどにも広く分布しています。日本では屋久島や種子島、沖縄などが良質のガジュツの生産地として有名です。
ガジュツはシネオールやカンファー、セスキテルペン、クルクメノシンなど、あまり耳にしたことのないような成分を100種類以上含んでおり、日本薬局方に生薬として収録され用いられています。しょうがとよく似た用途として使用されるのが一般的で、風邪や鎮痛、消化不良や吐き気などの症状にあてがわれることが多いです。また最近は、シネオールやアズレンなどガジュツに含まれる成分が脂肪やコレステロールを分解・排泄してくれ、ダイエットに効果的だと女性からも注目を浴びています。
スパイスの形態
スパイスには色々な形態があり、大別すると生のスパイスと乾燥させたスパイスに分けることができます。素材や料理、目的に合わせて使い分けることがスパイス名人への近道です!
・フレッシュ
→洋風のいわゆるハーブと呼ばれるものと、日本で薬味として使われるものがあります。
ハーブはサラダやパスタなど、薬味は魚の刺身や鍋物・佃煮などに利用されます。
・パウダー
→乾燥させたスパイスを細かく砕いて粉末状にしたものです。手軽で使いやすく、肉や魚料理の下味付けやソテー、スープなどどんな料理にも使いやすいのが魅力。調理の仕上げにささっと振りかけたり、食事中に直接使用しても風味をアップさせることができます。
・あらびき
→ホールを使いやすい形の粒状にしたもののことです。機械やミルで挽いたり刻んだりすると香りや風味が増すため、パウダーよりもっとスパイスを効かせたい場合に利用します。肉料理のソテーやロースト、マリネなどに適しています。
・ホール
→スパイスを原型のまま乾燥させたものなので、風味を強く出したい時、香りを本格的につけたい場合に使います。加熱時間が長い煮込み料理などでは、布でできた子袋にスパイスを入れて煮出し、後から取り出して使います。
・ミックススパイス
→カレー粉やガラムマサラ、七味唐辛子など、複数のスパイスを混ぜ合わせたものです。
あらかじめ最適な量をブレンドしてあるので、スパイス初心者の方でも使いやすいところが魅力です。
・シーズニングスパイス
→食塩や砂糖、その他調味料にスパイスをブレンドしたもの。ミックススパイスと同様、味付けに自信がないときや本格的な味や風味を出したい時に使うのがお勧めです。
セサミ
セサミとは日本で言うゴマのこと。日本でも毎日の食卓によく登場し、大変馴染み深いスパイスのひとつですよね。
セサミは東インドやエジプトを原産とするゴマ科の一年草で、現在は中国、エジプト、ブラジルを始め世界各地で栽培されています。セサミは7000年前のくさび形文字にも名前が記されているほど古くから親しまれており、当時は主に油を採ることを目的としていました。現在では食用油のほか、食用として和洋中問わず様々なジャンルの料理に使用されています。
セサミには黒ゴマ、茶ゴマ、白ゴマの3種類があり、色が濃いほど風味が強く、反対に薄くなるほどマイルドな風味がする特徴があります。
特に手をくわえずそのまま調理に使ってもいいですが、煎ることで香りが引き立つため、香ばしさを出したい場合は調理の際フライパンで軽く火を通しましょう。またゴマ油、すりゴマや練りゴマにして利用すればさらに料理の幅が広がります。中国ではゴマ油が風味付けに欠かせない存在ですし、日本人にもゴマ油を使ったドレッシングは大人気です。またパンやケーキ、クッキーや煎餅などの生地に練り込んだり、トッピングに使用したり、菓子類との相性もグー。
またセサミは不老長寿の秘薬と呼ばれるほど栄養価が高いスパイスで、カルシウムやビタミンB1、鉄分、食物繊維がたっぷりふくまれています。またセサミン、セサミノールなどのゴマグナリン物質には活性酸素を撃退する抗酸化作用があり、コレステロールの除去や動脈硬化の予防、ダイエットや美肌効果にも期待できる優れもの。テレビや雑誌でもたびたび特集が組まれるほどの人気ぶりに注目です。