トルコのカレー
トルコ料理はフランス料理(イタリアと合わせて西洋料理)、中華料理に並ぶもうひとつの世界3大料理といわれています。トマト・玉ねぎなどの野菜をふんだんに使うのが特徴で、煮込み料理が多いようです。また、トルコ料理といえばベースにヨーグルトを使用することが有名、どんな家庭料理にも入っているといえるぐらい一般的に使われています。さわやかでさっぱりした酸味がトルコ料理のテイストです。
さて、トルコのカレーですが、やはり野菜とヨーグルトが基本になります。スパイスは控えめにし、食材の旨みやコクを引き出して仕上げるのがポイントです。たまねぎやにんじんはしんなりするまで炒めたり、すりおろしたりして、丁寧に下ごしらえします。野菜以外には、豆やラム肉などがトルコカレーと相性がよく、好んで使われます。
ちなみにカレーと一緒に飲む飲み物として、紅茶や珈琲にミルクを加えた乳飲料がよく出されます。トルコ人は元々紅茶が好きで、カレーのような辛みの強い食べ物を食べる際、辛さをやわらげるための工夫として飲み出したのだといわれています。
トルコ風のカレーをいただくと、なんだか心も体もほっと落ち着きそうですね。
カレーとクラーク博士
「少年よ、大志をいだけ」の名言で有名なクラーク博士ですが、実はライスカレーと関わりの深い人物としても有名です。
クラーク博士は札幌農学校の教師で、生徒に飲酒を禁止させたり毎日賛美歌を歌わせたりと、“道徳教育に熱心なジェントルマン”といった存在でした。
はるばる外国からやってきたクラーク博士は、日本の子供たちが貧相な体つきをしていることが気にかかりました。その原因が日本人は米ばかり食べていることにあると思った博士は、タンパク質のある食事を摂らせようとメニューを洋食にシフトさせることにしたのです。
そこで出されたのが「主食はパンを推奨する、そしてライスカレー以外の米飯は全面禁止する」という規則。
なぜライスカレーはいいの?と疑問に思うのではないでしょうか。カレーならほかの具材からタンパク質を摂取することができますし、日本人が主食として好む米を全く食べられないのもかわいそうだという理由からそうなったといいます。また、当時は米が高価だったため、毎日の食事でご飯を炊くだけの米を買えなかったことも関係しているようです。
クラーク博士とカレーに関する文献には様々なものが残っていますが、古いものでは『恵迪寮史(けいてきりょうし)』が有名です。これには札幌農学校ではパンを推奨し、カレー以外の米飯が禁じられていたという一連の話が記されています。また『新北海道通信使』という文献には、何と一日おきにカレーが出されていたという記録が残っています。現在の私たちより頻繁に食べていたことになるのですから驚きですね。
ちなみにライスカレーと呼ばれるようになったいわれには、「ご飯」よりも「ライス」の方がハイカラな響きだから、という説や、クラーク博士が名づけ親ではないか、とする説があります。しかし、博士が日本に来訪する前に記された公文書には、ライスカレーという意味の「タイスカレイ」という言葉が使われており、真相ははっきりしていません。
何はともあれ、クラーク博士が少年たちをカレーで育てたことは事実です。
少年が大志を抱くには、原動力としてカレーのような栄養のたっぷり入った食事が必要なのかもしれませんね。
カレーとアーユルヴェーダ
最近TVや雑誌で、アーユルヴェーダということばを耳にしませんか?
アーユルヴェーダとは、サンスクリット語で生命・生気という意味のアーユスと、知識という意味のヴェーダを合わせて作ったことば。インドで古くから受け継がれてきた思想で、約五千年もの歴史があります。アーユルヴェーダは人々が健康で賢い生活を送れるよう、医学や生活の知恵、生命科学、哲学の概念を含んだ学問として発展してきたのです。
実はカレーのスパイスにもアーユルヴェーダの概念が含まれています。その概念とは、人間は運動・変化・安定性の3種類の生命エネルギーによってからだの生理的機能が統率されるというもの。この3つのエネルギーのバランスが取れている時こそ健康な状態だというのです。
そしてそのバランスを保つには食生活がとても重要だと考えられています。
スパイスは体を健康にする効き目のあるハーブや薬草をそのまま使ったり、種子を乾燥させて砕いたりしてパウダー状にしたもの。香り付けや色づけといった料理を美味しくする効果だけでなく、消化促進・疲労回復など体の調子を調整する働きもあります。スパイスは体のバランスを整えるという、アーユルヴェーダの食文化の基礎を支える存在だといえるのです。
それにしても、インドでカレーは思想や文化と密接に関わっているのですね。まだまだ探求の余地がありそうで、カレー好きとしてはとても楽しみです。
カレーは日本人の定番食
皆さんおわかりのように、日本人はカレー好きの国民です。
街に出れば、インドや東南アジアなどの本格的なカレーが味わえますし、カレーうどんやカレーパンといった、カレーを利用した食べ物も定番の人気食ですよね。
そこで沸いてくる疑問が、「日本人は一体どのくらいの頻度でカレーを食べているんだろう?」ということです。
農林水産省の純カレー・即席カレーの統計と、日本缶詰協会のレトルトカレー・缶詰カレーのデータを使って調査した結果、日本人は1年に約62回カレーを食べているそうです! 家庭での手作りカレー、外食するカレー、レトルトカレーなどの全てを含んだ数字ですが、ゆうに週に1度はカレーを食べていることになるのだから驚きです。
ある調査によると、家庭でカレーを作って食べる頻度は、月に2.5回程というデータも出ています。カレーは基本の料理方法が簡単ですので、お年寄りや子どもでも気軽に作ることができます。また、反対に味を追求したい人にとってはスパイスの種類や材料、調味料などいくらでも工夫できるため、自分なりのアレンジが楽しめる、魅力的な料理だといえるでしょう。こんなこともカレーを食べる頻度を上げる要因になっているのかもしれませんね。
手で食べるカレー ~国が違えば食べ方も違う~
インドではカレーを手で食べるのが一般的です。
正式なマナーというものは特に存在しませんが、手で食べる時に注意することや、正しいとされる食べ方があるのだそうです。
一番重要なのが、「右手」を使うこと。これは絶対のルールです!
インドでは、「左手」は不浄の手とされています。そのため食事や握手の時は、「右手」を使用することになっているのです。
どのように手を使って食べるのかというと、まずは食事の前は手を洗います。これは日本でも同じですね。日本では石鹸を泡立てて両手を洗いますが、インドでは右手だけ水で洗うのが正式な方法のようです。
そしてスプーンの代わりに手を使ってごはんにカレーをかけ、よく混ぜます。ここから手でカレーとご飯をすくって食べるのですが、方法が2種類あります。
指を使ってご飯を一口大にまとめて口に運ぶ方法と、日本でいうなら寿司を握るように、手のひらでご飯をまるめて口に運ぶ方法です。
どちらが正しいというわけはないので、食べやすい方法でいただきましょう。
ちなみにインドのカレーはサラサラしていますが、日本のカレーはトロッとしています。これは食べ方が異なるからだという説があります。インドはさらっとしたカレーのほうが手でかき混ぜやすいですし、反対に日本はスプーンを使って食べるので、液体よりも多少とろみのついた状態のほうがすくいやすいのでしょう。
文化の違いによる、カレーの違い。カレーっておもしろいですね。