メキシコのカレー
メキシコはハバネロやハラペーニョの原産地で、唐辛子をベースにした辛い料理がポピュラーです。タコスやブリトーなど日本でも親しみのある料理のほか、香辛料をふんだんに使った激辛料理もたくさん存在します。
しかし、実はメキシコにはカレー文化というものは根付いていません。そのため現地の人々がカレーと呼ぶような料理はないのですが、日本人から見てカレーに似た煮込み料理ならばバラエティ豊かに存在しているのです。
例えばサルサソースをベースにスパイスを加え、トマトや牛肉をことこと煮込んだものや、グリーンカレーのような料理があります。またモレソースという、なんとチョコレートを使ったソースを使った料理もあるのです。チョコレートといっても使用するのは甘味のないもので、ほかに数種類の唐辛子、トマト、たまねぎ、ナッツなどがソースの材料となります。これを鶏肉と一緒に煮込み、茶色くなった料理をライスの上にかけて完成。見た目はほとんどカレーと一緒です。
ちなみにメキシコでは、マンゴーやパパイヤなどのフルーツにもスパイスをふりかけて食べる習慣があります。スパイシーなメキシコ風カレーとデザートで、メキシコ気分を味わうのも楽しそうですね。
マスタード
マスタードは別名セイヨウカラシという、黄色く小さい花をつけるアブラナ科の一年草です。日本ではカラシと呼んでいます。ホワイト、ブラック、ブラウンの3つの種類があり、それぞれヨーロッパや北アメリカ/インド/南ヨーロッパを原産とします。
ホワイトマスタードはあまり辛みがなく、穏やか旨みがするのが特徴です。ピクルスを作るのにスパイスとして使います。
反対にブラックマスタードは刺激が強く、ツンと鼻につくような辛さがあります。一度に口に入れると辛くて涙が流れるほどの威力があり、TVでは罰ゲームで大量のマスタードを入れた食べ物を食べる・・なんて光景が見られることも。
ブラウンマスタードは日本では和がらしとして親しまれており、おでんなどの薬味やからし漬けとして日常よく使われていますね。また南インドでは香り付けとして民族料理に欠かせない存在で、油で炒めてから香ばしさを演出します。
スパイスに利用するのは種子の部分です。ホールのまま使ってもいいですし、さやが熟したら乾燥させ、種を取り出して粉末にしたもの、さらに粉末に水を加えて練り、ペースト状にしたものがチューブに入って店頭で売られています。和風・洋風を選ばず身近に使える所が魅力のスパイスです。
カレーペースト
レッドカレーペースはタイでレッドカレーを作るときに使われる、名前のとおり真っ赤な色をした、ものすごく辛い中にもコクのあるペーストです。タイ語でゲェーンペットと呼ばれていますが、これはスパイスを使った辛い煮込み料理という意味です。
使用するスパイスは唐辛子、ニンニク、レモングラス、クミン、カフェライム、ガランガルなど。カレーはもちろん、炒め物やローストチキンの下味なんかとしても優秀な働きをします。
またグリーンカレーペーストは、青唐辛子をベースとしたグリーンカレーには欠かせないペーストです。ニンニク、レモングラス、胡椒、カフェライムやクミン、ナツメグなどを砕き潰して作ります。グリーンカレーはココナッツミルクを入れてまろやかな甘味を加え、具材にはチキンが使われるのが一般的です。
自分で手作りする際は、ミキサーやクロックと呼ばれる石うすでを使ってスパイスを砕いたりすり潰したりします。またどちらのペーストも調合されたものが市販で売られているので、スパイスや器具を揃えるのが難しい場合は手軽に試してみてくださいね。
ザワークラウト
ザワークラウトはドイツやフランスで親しまれているキャベツの漬物で、この地域では庶民の味として家庭の食卓によく並びます。その昔タタールという遊牧民がオーストリアに作り方を伝えたのが始まりだといわれています。
作り方は、縦に切ったキャベツをキャラウェイシード、ディルシードなどのスパイスと塩と一緒に漬け込み、白ワインを加えることもよくあります。
ザワークラウトと相性がいい料理は、ソーセージなどの肉料理。ザワークラウトのスパイスに使用されるキャラウェイシードには消化促進の効果があるため、油っこい肉料理にはぴったりの付け合せなのです。このほかザワークラウトの上にソーセージや豚肉を乗せて蒸したシュークルートガルニもドイツの代表的な料理のひとつ。乳酸発酵による独特の酸味を活かし、ロールキャベツやスープ、サンドイッチやホットドックにも利用されています。
またキャベツはビタミンUやビタミンC、ビタミンKなどを豊富に含んでいるため、風邪の予防や食欲不振、胃腸の荒れにも効果的な栄養価のある付け合せなのです。
具材を炒める順番
カレーは煮込みに入る前に、具材を炒めることからスタートします。
ところで肉と野菜を炒める場合、皆さんは順番をどうしているでしょうか?まずは肉を炒め、そのまま同じフライパンや鍋を使って野菜を炒める、というのが一般的だと思います。これは肉にしっかり火を通すことと、肉から出る油や旨みが後から加えた野菜となじみ、味に深みが出るからです。
また、魚介類は火が通りやすいので、強火でさっといためて次の材料をいれるか、別のフライパンで炒めてあとから加えるなどすると食感や風味を保つことができます。
野菜を炒める順番も、火が通りにくいものから始めるのがよしとされています。
しかし、臭みの強いラムやマトン、消費期限ぎりぎりの古い肉などは野菜と別々に炒めるか、先に野菜を炒めて後から加えると臭みが気にならなくなります。香味が強いセロリやパセリなどの野菜も同様です。
順番を変えるだけで簡単にいつものカレーと一味違う仕上がりになるので、是非試してみてくださいね。
キャラウェー
セリ科の二年草で、原産地は西アジアや北・中央ヨーロッパです。現在の主な産地はオランダ、ドイツ、イギリス、イランやインドなどとなっていますが、そのほとんどは特にオランダで生産されているようです。
別名ヒメウイキョウと呼ばれ、見た目がクミンに似ているのでフランスでは牧場のクミンと呼ばれているそうです。歴史の古いスパイスは色々ありますが、キャラウェーにも様々なエピソードが残されています。紀元前1世紀のローマではアピシウスという美食家として有名な人物が著書の中でキャラウェーを使った調理方法を紹介していたり、エジプトの医学書「エーベルスパピウス」では薬効としての記録が書かれていました。
調理に利用するのは種子の部分。やわらかな甘みとほのかな酸味、そして苦味がキャラウェーの特徴です。
パンやケーキ、クッキーなどの甘い食べ物のほか、ソーセージやキャベツ料理、りんごと相性がいいためアップルパイや焼きりんごによく使われます。またキャラウェイといえばキャラウェイチーズが有名で、ハーブならではの風味の豊かさが人気の秘訣のようです。
薬用としては消化の促進や不良予防を助ける効果があり、かぜ薬や胃腸薬にも原料として
使われます。抗菌作用も期待できるため、油っこい料理の後などに摂取すると効果的です。
フェネグリーク
地中海地方やインド、アフリカなど、雨の少ない温暖な場所で栽培されているマメ科の一年草です。60cmほどの高さに淡黄色の花をつけ、20個ほどの種が入ったさやを実らせます。
原産地は西アジアやギリシアで、古代から料理や薬用として使用されていました。エジプトではお香やミイラを作るのにフェネグリークを利用していたそうで、最も古いとされるものがエジプトの古墳で発見されています。
香りの特徴はカラメルのような甘さとセロリに似た苦味。スパイスとして使用されるのは種子の部分ですが、種はそのままでは苦くて食べられないため、ひと手間加えて軽く煎るといいでしょう。
主にインド料理でよく利用され、カレーパウダーの主原料となっています。またパキスタンやアフガニスタンでは調味料のチャツネにも使われています。この他に、エジプトやエチオピアではパンの中に入れたり、ベルベレという香辛料に欠かせない材料となっています。
フェネグリークはタンパク質が多く、ビタミン・ミネラルも豊富に含まれています。また滋養、健胃、などの薬用効果があるとされ、健康志向の方にはもってこいのスパイスだといえますね!
カレーのブルーミング
カレーのルウの表面が時々緑色に見えることはないでしょうか。湿気の時期やしばらく開封していなかったときなど「カビかな?」と心配したことがある方もいらっしゃるかもしれません。
実はこれ、カレーのブルーミングという現象なのです。ブルーミングとは、カレーのルーに含まれているターメリックの色素が油脂分に溶け込んで表面に浮き上がり、固まって緑色に見えることをいいます。夏の暑い時期や温度の高い室内に置いておくと油脂分が溶け、ブルーミングが起こるのですが、特に品質に問題はないので安心してください。シチューやハヤシライスのルーでもブルーミングが起こりますが、ターメリックは含まれていないため浮き上がった油脂分で表面は白っぽくなります。
ちなみにブルームは英語で「果実や葉の蝋粉(ロウ物質)」という意味で、元々はチョコレートでも砂糖の結晶が表面に残るシュガーブルーミングや、カカオバターの結晶が表面に現れるファットブルーミングの用語で使われていました。カレールーに起こる現象も同じような原理によるため、これが次第にカレーのルーにも当てはめて使用されるようになったということです。