ライス

普段家でカレーを作るとき、白いごはんにそのままかけて食べるのが一般的だと思います。
ひと工夫加えるとしたらまず目が向くのはルウです。スパイスを自分で調合したり、隠し味としてコーヒーやチョコレートを入れてみたりするのではないでしょうか。
でもごはんにもこだわると、もっとカレーが美味しく食べられるようになるし、見栄えも本格的になります。白米以外でカレーライスを作るときにターメリックライス、サフランライス、ココナッツライスの3つです。


ターメリックライス
ターメリックは鮮やかな黄色と少し辛みの効いた風味が特徴のスパイス。日本での名称はウコンです。炊飯器に米とターメリック、そして塩を少々入れて炊き上げます。主張の強い味がするわけではなく、ほのかに辛味が効いたライスがカレーに良く合います。

サフランライス
サフランはパエリヤやブイヤベースに欠かせない香辛料で、特に魚介類との相性が抜群です。ぬるま湯にひたして色と香りを出し、これに固形スープやローリエの葉を一緒にいれて米を炊きます。少し固めに炊き上げるのがポイントです。

ココナッツライス
ココナッツミルクに塩、ローリエの葉などを加えて鍋に入れ、強火で似炊きます。サラダ油やバターを加えるとさらにこっくりとした味わいが出ます。タイ風カレーをはじめ東南アジア料理には定番のライスです。

さらにワンポイント。3つのライスのどれにもバターを加えると、風味や甘みがアップして美味しくなります。

クローブ

クローブは甘く刺激的な香りが特徴で、風味づけにもってこいです。大航海時代にヨーロッパのスパイス貿易の中心として人気を博したといわれています。日本では釘のような形をしていることから丁子を呼ばれ、ビンツケ油やにおい袋に入れて使われていました。現代でもとんかつソースやウスターソースの調味料として使われていて、日本人にとてもなじみ深いスパイスなのです。またクローブは殺菌・消炎の効力に優れているため、胃薬の原料としても使われています。

原産地はインドネシアのモルッカ諸島。玉ねぎや豚肉に刺してポトフやシチュー、ローストポークの調理に使うのが一般的です。消臭力に優れているため、肉料理全般に臭い消しとして効果を発揮するのです。ほかには焼き菓子や紅茶に入れると風味や甘さが引き立ち、美味しさを引き立てます。ただし入れすぎると刺激が強くなりすぎますので少量をさっと使いましょう。

カレー料理で香辛料として利用する場合は、ホールかパウダーで調合します。
パウダーで使用するなら他のスパイスとそのまま調合しますが、ホールのまま使うなら、油で炒めて香りづけをするとよいでしょう。甘いのに刺激があり食欲をそそる風味が加わります。そのまま煮込む場合は煮とかし、形が残るようなら料理が完成してから拾い上げるように。この時お茶の葉を入れるような小袋に入れると取り出しやすいようです。

インドのカレー

カレーといえばやはりインドという国を思い浮かべますが、それではインドのカレーとはどのようなものなのでしょうか。インドのカレーは日本のカレーと全く違います。そして、宗教や地域などによってカレーの種類は大きく違ってくるのです。

インドは多民族国家で様々な宗教が共存しています。たとえばインド人の8割を占めるヒンズー教徒は牛肉を食べられませんし、イスラム教徒は豚肉を食べません。また、ジャイナ教徒は魚や肉、卵などをは食べてはならないとされています。一般的に肉に関しての禁忌が強いため、インドでは豆やナッツがたんぱく源として重宝されているようです。もちろんカレーの材料としてもよく使われています。

そしてインドには独特な身分制度があり食べるものにも影響しています。それはカースト制度と呼ばれ、高い階層になると禁忌とされる食物が増えてくるのです。厳密にはカーストによる差別は1950年に憲法で禁止されましたが、地方などでは慣習として根強く残っています。

また、インドは広大な国土を持っているため、北部と南部では気候がだいぶ違います。そして降水量も違うために栽培される穀物も南北で差があるようです。米を作っている地域と小麦を作っている地域ではカレーの汁気や辛さに大きな差があります。

このように一口にインドカレーといっても宗教や階層制度、気候などが複雑に影響しあって多種多様な味を作り出しているのです。

ジンジャー

日本では「生姜」と呼ばれているジンジャーほど様々な料理でなくてはならないとされているスパイスはないでしょう。ひとくちにジンジャーといっても生のもの、スライスして干したもの、おろしたもの、刻んでパウダー状にしたものなど料理によって様々な形態を使い分けて使用します。カレースパイスとして利用する際にはジンジャーを干したものを粉末状にします。調理の利便性だけではなく干したものは生のものより辛味が強いからです。

ジンジャーは高温多湿の地域に生育する植物です。中国、インド、アラビアなどでは古代から調味料として重宝されてきました。紀元前からは西洋に伝わり、日本でも「古事記」にジンジャーに関する記述があるほどの長い歴史を持っています。語源はサンスクリット語で生姜の形を鹿の枝状の角に見立てて命名されたとか。
魚や肉の生臭さを消したり肉を柔らかくするという効用があり、爽やかな風味を持っています。また飲料水やケーキ、ビスケットなどの香り付けとしても有名で、人型のジンジャービスケットや飲料のジンジャーエールなど嗜好品として親しまれています。

ジンジャーはカレースパイスの中でも爽やかな辛さで味にアクセントを与えてくれますが、酢漬けなどの薬味として付け合せられることもあります。カレーの内と外から風味を与えカレーの味に広がりを持たせているのです。

カレー粉の中身

家庭で売られているカレー粉も様々なスパイスを混ぜ合わせたものから出来ています。工場で機械的に生産されるカレー粉でも、約30種類以上のスパイスを混ぜ込んでいるようです。メーカーによりそのブレンドの方法には秘密があるでしょうが、例えばどのようなスパイスを調合しているのでしょうか。
一般的にはまず辛さの元となるブラックペッパーやガーリックなどのスパイスと、香りを付けるカルダモンやクミン、フェンネル、クローブ、ナツメグなどのスパイスが味の中心となります。そこに色付けのターメリックやパプリカなどが入り私たちの知っているカレー粉が出来上がるのです。


もしも自分でスパイスを調合してカレー粉を生成しようとするのなら、まずは様々なスパイスを取り揃えることが必要です。コツは基本の味を決めておきそこに他のスパイスを徐々にいれてバランスを見ていくのがよいでしょう。味や個性の強いスパイスは先にベースにすると風味が全て消えてしまいますので、後から少量ずつ加えます。
スパイスの保存や挽くタイミングにも気を付けましょう。スパイスは光や熱、湿気が大敵です。容器に蓋をしたうえで冷蔵庫などの冷暗所に保存しましょう。

自らスパイスを調合することで一際愛着のわく一皿ができあがるはずです。オリジナルのスパイスであなただけの家庭の味を作ってみましょう。

カレーの具

家庭で作るカレーの具といえば、にんじん・玉ねぎ・じゃがいも。あとは鶏肉や豚肉、牛肉などの食肉かシーフードカレーの場合は海老などが入るのが一般的ですね。いまやカレーの具といえばこれらの材料が直ぐに思い浮かびますが、日本では最初からこれらの具を使ってカレーを作っていたのでしょうか?
調べてみると明治時代には鶏肉のほかに鯛や牡蠣、海老などを入れていたという記述が残っています。中には赤蛙(!)を入れたというレシピも残っているので、今のカレーと比べると随分変わった取り合わせの具だったようです。

現在無くてはならない玉ねぎやじゃがいもは、当時の日本ではまだ普及していなかったためまだカレーの具として登場しません。明治中ごろになってようやく普及がはじまりやがて定番のカレーの具となってゆくのです。玉ねぎは日清戦争や日露戦争の時に軍需食料として出回るようになりますが、それまでは試験場などで栽培されているのみでした。また、じゃがいもも東北地方などでは既に普及しましたが全国的には明治18年の米の大凶作を受けてその代用食として家庭に広まっていったようです。
玉ねぎなどの具もそうですが、カレーライス自体も大きな戦争のたびに軍需食としてどんどん日本へ普及してゆきます。意外なことですがカレーの歴史は戦争の歴史というか、密接に関わっているのは確かなようですね。

カレーが付いた衣服の洗濯法

カレーを食べていて困るのがカレーが衣服に付着するとき。おいしく食べていたらついうっかり…という経験が1度はあるのではないでしょうか。
このときあわてて石鹸で洗うとたちまち赤く変色してしまいます。しかしこの赤色は石鹸のアルカリ性が反応してしまって出る色ですので、心配は要りません。カレーの汚れは水洗いをし、石鹸で洗った後外で日光をふんだんに当てて干すのが良いでしょう。カレーのシミの原因はターメリックによるものですが、この黄色成分は日光などの紫外線に弱く当たると無色化する性質があります。そのため、何度も洗濯をしてその度に外に干してゆくとどんどん薄く落ちてゆくのです。

色物などは日光で色あせすることもありますので、日陰干しを何度かしてみます。また、直ぐに落としたい場合はベンジンを浸したタオルでたたき拭きをし、お湯に漂白剤を入れて浸してみるとよいでしょう。

ナツメグ

四大スパイスと呼ばれるスパイスの存在をご存知ですか?胡椒・シナモン・クローブ・そしてナツメグです。ナツメグといえばハンバーグを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし実はカレーのスパイスにも使われているのです。

ナツメグの産地はモルッカ諸島や東インド諸島で、ニクズク科の常緑樹の果実から作られます。実は杏のような黄色い形状をしていて、熟れると果実に裂け目が入り種皮が現れるのです。その仮種皮を取り除き、殻を割って出てくる黒褐色の種子がナツメグです。この際に取り除かれる仮種皮のことをメースといい、メースもスパイスの一種として使われています。
ナツメグはふわっと広がる甘みと苦味が独特のスパイスです。主に香り付けに使いますが、そのヒミツはa‐ピネンとカンフェンという木の実ならではの芳香成分。どうりであんなに香ばしい香りがするはずです。


ナツメグを使用する際は通常はパウダーにして材料に振り掛けます。挽き肉によく合うので、挽き肉カレーを作るときにオススメです。コツは調理する前にスパイスを少々振り、よくなじませること。調理したときに風味が引き立ちます。多すぎると逆に刺激が強くなるので適量を感覚で覚えましょう。オールスパイスやシナモン、チーズなどとも相性がいいようです。カレーやハンバーグ以外にもロールキャベツ、ソースのスパイスとしても優秀。

ピリッと引き立つ風味が魅力のナツメグですが、実は煮込むことによって甘みを増す性質があります。そのためトマトを使った煮込み料理やクッキーなどの菓子にも利用されているのです。
肉料理にもお菓子にも使えるオールマイティーなスパイス、他にも色々な料理に試したら意外な発見が期待出来そうですね。家庭に一本あれば家族からの評判が上がること請け合いです。

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