ポマンダー
ポマンダーはオレンジやレモンなどの柑橘系、りんごなどの果物にスパイスをまぶして作る香りを楽しむための丸い玉です。
手作りのポマンダーには幸運を呼ぶという意味が込められているため、欧米ではクリスマスや新年を迎えるとポマンダーをプレゼントとして交換し合う習慣があります。
作り方は簡単。まず好みの丸い果物に十字にテープを巻きます。次に竹串などで果物の表面に穴を開けていきます。この穴の中にクローブを差し込むのですが、この時奥までしっかり指しこんで果汁を吸収させるのがポイントです。
ここまでの作業が終わったらテープをはがし、ポマンダー用に作っておいたスパイスをまぶし、風通しのいいところに吊るして乾燥させて出来上がりです。
プレゼントにするときはリボンをかけるとかわいらしいですし、そのままツリーや部屋の飾りとして使っても楽しいですよ。
パセリ
パセリはセリ科の二年草で、別名をオランダゼリといいます。あざやかな緑色とさわやかな苦みのある香りが特徴のハーブです。原産地は地中海沿岸ですが、環境に適応しやすい性質であるため今では世界各地で栽培されています。
パセリには大きく分けて4つの種類があります。まず1つ目、葉が縮れた日本でおなじみのパセリがパナマウント種のモスカールドパセリ(カーリーパセリとも呼ばれる)です。葉の部分を料理に添えて、彩りを演出するのによく使われますね。2つ目はイタリアンパセリ(フレンチパセリとも呼ばれる)。これは葉がまっすぐで平たく、その分食感もモスカールドパセリと異なります。この他に大きな葉柄の部分を食べるナポリタンパセリ、ニンジンのように根の部分を食べるハンブルグパセリがあります。
パセリは栄養価が高く、ビタミン、ミネラルや鉄分が豊富に含まれていのです。特にビタミンAはにんじんと同等の量で、ビタミンCはレモンの2倍!またパセリ特有の苦味成分であるアピオールには臭みを消す効果があるので、肉や魚の臭み消しや口臭予防によく利用されています。
料理に使われる場合は、やはりキレイな緑色を活かしてサラダやパスタ、ソテーなど様々な料理の飾りに使うことが多いでしょう。もちろん見た目を彩るだけでなく、塩と相性がいいため塩味の料理にもよく利用されます。特にヨーロッパではパセリのみじん切りを塩・こしょうと同じ感覚で日常的に使用しているといいます。また、パセリは味や香りに干渉せず素材や他のスパイスの良さを引き立てる効果があり、料理の最後にみじん切りにしてふりかけたり、ブーケガルニという煮込み料理には欠かせない、頼もしいスパイスなのです。
バニラ
アリスクリームなどでお馴染みのバニラは、ラン科バラ属のつる性植物です。メキシコ、中央アメリカを原産とし、マダガスカルやメキシコなど熱帯地域で広く栽培されています。
収穫や加工に手間がかかるため、現在市場に出ているものはほとんどが人工のもの。天然のバニラには大変高価な値が付けられます。
バニラは摘み取っただけでは香りがしないため、収穫した種子を発酵・乾燥させることでその温かみのある特有の甘い芳香を引き出します。店頭ではバニラエッセンスやバニラオイル、バニラビーンズとして加工され販売されています。
料理には香料として使用されます。アイスクリームをはじめ、ケーキやカスタードクリーム、プリンなどの甘い菓子類が代表的。バニラはチョコレートやココア、コーヒー、ワインといった飲料にも含まれることが多く、わたし達は知らず知らずのうちにバニラの香りを楽しんでいることになりますね。そのくらい広く日常に溶け込んでいる、身近な存在だといえるでしょう。
サラダ
サラダは辛くて刺激の強いカレーと一緒に食べるにはぴったりの副菜です。
レタスやみず菜などの葉ものにトマトやブロッコリーを添えてさっぱりさせてもいいですし、キャベツや豆でコールスローサラダにしても口直しになります。またポテトサラダはボリュームがありますし、ほくほくした食感がカレーの辛さを和らげるためワンクッション置きたいときにピッタリです。
サラダの材料の組み合わせ方だけでも色々なバリエーションが考えられますが、ドレッシングを変えるとさらにテイストの変化を楽しむことができます。しょう油ベースの和風ドレッシング、ペッパーの風味がアクセントのイタリアンドレッシング、マヨネーズと酢の酸味が美味しいフレンチドレッシングをはじめ、クリーミーで風味豊かなゴマドレッシング、ゴマ油が効いた中華ドレッシングなどなど、ほかにも様々な種類のドレッシングがあります。市販のものを使ってもいいですし、調味料を揃えて自分で手作りしても楽しいですよ。
ベトナムのカレー
ベトナムカレーはサツマイモやココナッツミルクが入った、甘くてまろやかな味が特徴です。とろみはなく、スープのようにさらっとしています。辛さは控えめですが、日本と同様ライスにかけたりパンと一緒に食べるのが一般的です。
作り方は、まず肉や野菜にカレー粉をまぶし味をなじませておきます。しばらく置いたらこれを鍋かフライパンにあけ、ガーリックやレモングラス、シナモンなどのスパイスと一緒に炒め、ココナッツミルクを入れて煮込みます。日本では最後にカレールウを入れて煮込みますから、手順の違いがおもしろいですね。
またベトナムの市場では様々なカレー粉やカレーペストが売られており、自分たちでオリジナルのスパイスを調合している家庭も多くあるそうです。残念ながら日本でベトナムのカレー粉を入手するのは難しいので、自宅で作ってみたいときは、チリパウダーやターメリック、コリアンダー、シナモン、クローブなどベトナムのカレー粉に使用されているスパイスを参考にしてみるといいでしょう。
セージ
セージはシソ科サルビア属の多年草で、地中海沿岸を原産地とします。500種類以上もの変種がありますが、一般に店頭で売られているのはコモンセージという品種です。
現在の主な産地はギリシャ、イタリア、トルコ、ユーゴスラビアなど。ヤクヨウサルビアの別名を持つように、古代ローマ時代から万能薬として人々に重宝されてきました。「長生きしたい者は5月にセージを食べよ」「庭にセージを植えているものは不老不死」などということわざもあるほどです。
利用するのは葉の部分。乾燥させ、表面が白っぽくなったものは品質がいい証なのだそう。渋みとわずかな苦味が感じられ、主な効能に殺菌消毒作用があるため豚肉や鶏肉、鯖など魚の臭み消しにはもってこいです。
また消化促進や精神安定効果も期待でき、食後の胃もたれに効くともいわれています。
料理ではソーセージや挽き肉の詰め物を作る時に、乾燥させた葉の粉末や生の葉をそのまま細かく刻んで加えます。またタイムやローズマリーなど、ほかのハーブと一緒にオリーブオイルに混ぜて野菜やシーフード、オーブン料理の下味に使うとおいしいですよ。
またハーブティーや観賞用としても人気があります。
豆類
インドでは宗教上の理由から肉を食すことを禁じる風習がありました。そのためベジタリアンが多く、豆は貴重なたんぱく質のもととして重宝されていたのです。また豆には植物が育つための栄養が蓄えられているため、栄養の貯蔵庫としても人々の健康を支えていました。
世界中には色々な種類の豆があります。インドや北アフリカではレンズ豆、アメリカではいんげん豆、ヨーロッパ地方ではひよこ豆やソラマメなどがそれぞれ原産で、その地域で昔から人々に食されてきました。日本でも大豆が納豆や豆腐の原料として、また小豆は赤飯や和菓子の材料として人々に愛されています。
カレーによく使用されるのはひよこ豆やレンズ豆、いんげん豆など。乾燥した状態の豆を水で柔らかく戻し、炒めたり煮込んだりして調理されます。手間をかけたくない場合は水煮缶が便利です。
豆の植物性たんぱく質は動物性のものと比べ良質で、必須アミノ酸が豊富です。またビタミンB群、カリウム、サポニンという老化を防ぐ働きのある成分も含まれており、健康はもちろん美容にも大変効果の高い食材なのです。
豆カレーは豆のほくほくした食感やほのかな甘味が美味しいだけでなく、体を丈夫にキレイにしてくれる、一石二鳥の効果が期待できるカレーだといえるかもしれませんね。
オールスパイス
中央アメリカ、西インド諸島などの熱帯を原産とするフトモモ科で、また緑色の未熟な果実を天日で乾燥させたものがオールスパイスです。主な産地ではジャマイカが最も有名です。
名前の由来はクローブ・シナモン・ナツメグをミックスしたような香りがすることにあります。さわやかで心地いい芳香に加え、かすかな苦味とピリッとした刺激が感じられる味が特徴です。
オールスパイスをヨーロッパに持ち込んだのはコロンブスですが、紀元2世紀頃にはマヤ・インディオが王の遺体の周りにオールスパイスを防腐剤として敷き詰めて使用していたといいます。
主な効能に殺菌・抗菌、油の酸化防止のほか、消化促進など消化器系の症状を和らげる効果もあります。また精油として薬品の香りづけにも利用されます。
料理ではソーセージやハンバーグ、牛肉のローストなどと相性がよく、トマトの煮込み料理やスープなどに加えても効果的。もちろんほかのスパイスと混ぜ合わせカレー粉にすることもあります。また食品メーカーではケチャップやソースの香りづけに使われる、重要なスパイスとなっています。